ただ今B3Fでカマキリから逃げ切り、回復ポイントでレベル上げ中。
4Fにも降りたんだけど、うようよいるオオカミにぞっとしました。怖ええええ。
このゲーム、野生動物の怖さというか、生命の危機という意味での恐怖の出し方がえらい上手いんですが。
食われる……!って思う。あと、シカのうつろな目が怖い。


ちょっと自己満足的設定の小説でも。
探索に出る前の話です。他の人が読んで面白いのかどうかは不明です。




 深緑の天井は、美しかった。地の裂け目から差し込む陽光が木の葉に積もり、雫のように滴り落ちているかのように。
 足元には小さな花がおずおずと蕾を開きかけ、茂った草はどこからともなく吹く風にそよぎ、そこはまるで、何一つ恐れなど存在しないかのような、静かな静かな聖地のようにすら思えた。
 ノースは、辺りをゆっくりと見回してから目を細め、地割れの痕からのぞく、彼の瞳と同じ色の天空をしばし仰いでいた。


 そもそも、レンジャーは木の根を枕とし、樹々の陰に息づく狩人。その歴史は綿々と続く、言わば森の民である。森歩きの術にも獣を射止める弓の腕にも、元来自信のあるものばかり。
 それならば樹海も何も恐れることもない。少なくとも迷宮の深層に分け入るでもない、地下一階で少しばかり材木を集め、小金を稼ぐくらいならば手練れ五人で苦もなくやってのけることができるに違いない。今の冒険者ギルドはどこも若手の入り込む余地はなく、利権も情報も独占しているのはけしからん。それならば自分たちで行動を起こすのみだ。酒の上で散々盛り上がったあげくに、彼らはそれをすぐさま実行に移したのだった。ノースはその即席部隊の、最年少の一人だった。


 だが。おかしい、と全員が感じたのは樹海に下り、そう時間も経たない頃。そこには外界の動物とはまるで違う、ずっと凶暴な獣たちが住まっていたのだった。
 鋭い爪に牙。好戦的な性質。やっとのことで見つけた休息できそうな場所には、強い毒性の蝶が舞う。仲間は重症を負い、次々に息も絶え絶えになっていく。
 ノースの右肩にも、森ネズミの残した深い傷跡が残っていた。動くことはできる。が、弓は引けそうにない。左手で予備のナイフを握る。これで、一体どこまでいけるものか。引き返して救援を呼ぶにも心もとない。何より、ここに仲間を残していっては全員獣の餌になってしまう。
 息が乱れる。止血のために巻いた布は、とうに真っ赤に染まり、意味をなくしていた。
 足音が聞こえる。また新手が現われたか、と彼はふらつきながら立ち上がった。獲物よりも素早い動きで息の根を止めることを第一とするレンジャーの身としては、あまりに心もとない動き。痛みが判断をちらつかせる。だが、それでも、この一瞬だけでも、永らえよ、命よ。祈るように構えたその時だった。
「おおい、こっちに人がいるみたいだ!」
 そこに、ひょいと現われたのは、まだずいぶん若い一人の冒険者
 ひゅう、と音を立てて肺の中身が空っぽになった気がした。彼はそのまま、しばらく意識を失う。


 三ヵ月後。
「ノースさんさあ、そんなに毎日毎日ギルドに通ったって、やる気のある奴なんてそうそう来ないっすよ」
 通りを早足で歩く彼に、ユールが呆れ顔でそう言った。樹海で彼を見つけた見習いメディックである。あの時同行していた一団が仕事を終え、解散して以来は樹海に入ることもなく、なし崩し的にノースとふらつくことが多くなった。
「だからといって一日俺が通いをサボったせいでせっかくの出会いを逃したとしてみろ、後でどれだけ後悔すると思っている」
「そういう性格はね、付き合うまではいいんだけどそこから先鬱陶しがられてサヨナラ、ってなもんですよ」
「何の話だ」
「もちろん女の子の……あっ、ちょっ、待ってくださいってば、ほんと足速いんだから!」


 あの日の仲間は皆、傷が癒えると樹海のことに関しては気まずそうに口をつぐむようになった。エトリアを去り、故郷に帰った者もいる。自然、他の同業者達にも探索を躊躇う空気が流れ出す。
 たまらなかった。
 彼は考える。地図が欲しい、と。
 単に道を記しただけではない、危険な場所や資源のある場所、わかりにくい道の進み方や手ごわい獣への警告が書き込まれた、この地に集った全ての人間に公開された地図だ。
 地下一階ではへこたれなかった、大抵の勇気ある冒険者は自前の地図を持っているものだ。だが、彼らは利権のため、経験を、情報を自分たちだけのものにしたがる。おまけに新入りを受け入れることはほとんどないと言える。彼が今更割り込んで情報を横から浚っていくのは到底無理なことだ。
 ならばまた自分で探索に出るしかない。が、しかしレンジャーとメディック、未だに二人しか面子がいないのだ。これでは足りない。
 鉄壁を誇る護衛がいる。怪我も厭わずに突っ込んでいく勇敢な戦士がいる。人知を超えた力を放つ魔術師が必要だ。神秘の唄を奏でる吟遊詩人が支える局面もあるだろう。全て足りない。
 だから彼は、今日も冒険者ギルドへ急ぐ。冒険心と未知の力量を備えた仲間を見つけるために。
 多分、彼はあの時、樹海の深緑に魅せられたままなのだ。


「……なるほど、そういう事情だったわけ」
 街の盛り場でも特に冒険者たちで賑わう《金鹿の酒場》にて。長い剣を背負った活発そうな娘は、腕を組んで重々しくうなずいた。
「やっとわかった。それで私に声かけたんだ」
「わかってくれたか」
「うん、半日かけてやっとね。あんた話下手すぎ! 端折りすぎ! いきなり寄られて『地図を作らせてくれ!』って何事かと思ったじゃないのよ」
 ユールが同調するようにうんうん、と首を振る。
「でしょー。この人と飲むの結構気疲れするんだよね」
「……そうだったのか」
「半分はあんたのせいだってば。そっちはそっちで話が長すぎるの。どうでもいいとこばっかで口挟むからこんなに長くなったんじゃないよ」
 彼女は眉間に皺を寄せる。表情が豊かな娘で、不機嫌な顔にも随分なバリエーションがあるようだった。
「で、私と探索をしたいってわけね?」
「その通りだ。俺が見かけた獣の情報なら少しは提供できる。こいつは……少しは治癒の術が使えるんだったな、ユール?」
「ひっでえの。俺のおかげで命拾いしたくせにさあ」
 わざとらしくついたため息に、娘はふっと表情を緩ませた。
「うーん、不安はまああるけど、私も駆け出しだしね。お試しってことで私のギルドに入れたげる」
 二人は顔を見合わせた。ユールがにやにやしながら手を差し上げる。ノースはその手を軽く叩いた。ぱん、と小気味の良い音。
「私はリゼル。よろしくね。それから、ようこそ《血まみれ男爵》に!」
 エールのジョッキを娘は差し上げた。二人はもう一度顔を見合わせ、
「血まみれ……何って?」
 リゼルはとても嬉しそうに、大層かわいらしい、心からの笑みを浮かべた。
「男爵! うちの田舎に伝わる悪霊の名前でね、新月の夜には土地を徘徊するんだけど、時々恐ろしい叫び声が……」
「なんでそんなんギルド名にすんだよ! すっげえダメっぽい! 絶対生きて帰れない!」
「……不吉に過ぎないか?」
「そんなことないよー、その年初めての子牛の首を捧げれば豊作を約束してくれるんだよ」
邪教かー!!』


 こうして、新米冒険者の探索は、その最初のページを開くのであった。


・蛇足
すいません、レンジャー男(金髪)超好きなんです!
やばいね! ルシフェルさんといい、金髪でこ出しタイプに弱いのかしら(そういえば、指輪はレゴラス好きだったな)。
あと、往時のラノベの匂いがぷんぷんだったり、締めで文章が思いつかなくなったりで後半がアレですが、気にしないでください!
パーティーがボケばっかりなのは、私の好みです。後で加わるジーグとジョーもボケです。続くかどうかはわかりません。


あと、炎系の女性アルケミストを一人加入させました。ジョーと属性によって使い分けるつもり。
黒髪メガネの方で、名前はキルケさん。
最初は金髪レンジャーは女性設定、こっちは男性設定で!と思ってたんですが、普通にそのままの性別の方が萌えることに気づき、デフォルトに。
この人はどっちかというとツッコミっぽいですが、多分淡々と間違いを指摘するキャラなんだろうなあ。


あとは、控えであんまり使ってないダークハンター女(縦ロール)のニーナとバード女(色黒)のサラサがいます。
なんか女っ気少なすぎて味気なくなったので……。
今後使ってあげたいな。
まあ、そんな感じで進めてきます。